遺伝子の基礎知識
遺伝子、ゲノム、DNA、染色体とは、それぞれが違った意味で使われています。
DNAとは、デオキシリボ核酸という物質のことで
A:アデニン
G:グアニン
C:シトシン
T:チミン
という4つの塩基からなっています。螺旋構造のような長い二重螺旋になっていて、4つの塩基の組み合わせの違いによって、つくられるアミノ酸が変わります。そのアミノ酸が結合することによってタンパク質が合成されます。
タンパク質を作り出すのに必要な情報を担っているものを遺伝子といいます。
つまり、長いDNA上に、たくさんの遺伝子が並んでいるとイメージするとよいでしょう。
タンパク質は体をつくる基本素材です。細胞も酵素もタンパク質からつくられています。臓器は細胞の塊であり、臓器が集まってできたものが「体」です。
よって、遺伝子が「体」をつくりだす基礎になっているということは間違いないことであるのです。
A・G・C・Tという4つの塩基の組み合わせが30億続くと、人間の設計図である「ヒト・ゲノム」と呼ばれるようになります。
2003年には、このヒト・ゲノムの解析が終わり、全ての塩基配列の確認が終了しました。
ゲノムの重さは1gの2000億分の1に過ぎません。この小さな場所に30億という化学の文字が記されています。普通の文字にすると大百科事典3000冊分にのぼるそうです。
「生き物として生まれてくる確率は、1億円の宝くじの100万回連続して当選するのと同じである。」木村資生という遺伝子学者の言葉です。生まれてくるだけでとても幸せであることに間違いはありません。
染色体は、小さなDNAがさらに小さく折りたたまれているもののことです。
約10万分の1に折りたたまれています。つまり、100mのDNAの糸を1mmの長さに納めてしまうのと同じです。
これらが一つの細胞の核に納まっています。そして、適切な形で細胞分裂を促し、人体をつくり、健康を維持しています。
染色体の数は、人間はどんな人種でも46本(23対)です。
RNAの働き
RNAとはリボ核酸のことで、遺伝の際に重要な働きをする小さな分子です。主に、遺伝情報の運び屋としての働きが知られています。
1952年:遺伝情報を伝えるのはDNAであることが発表されました
1953年:DNAの二重螺旋構造が解明されました
その後、DNAがタンパク質を合成するにあたって、その仲介役をするものがあるのではないかという仮説が立てられました。
1956年:mRNA(メッセンジャーRNA)とtRNA(トランスファーRNA)、rRNA(リボソーマルRNA)が発見されました。
最近の研究によって、98.3%のジャンク領域からも、小さなRNAがつくりだされていて、それが生命活動に重要な働きをしていることがわかっています。これらの小さなRNAのことをncRNA(ノンコーディングRNA)と呼んでいます。
*ジャンク領域(ジャンクDNA)とは、染色体あるいはゲノム上の機能が特定されていないようなDNA領域のことで、日本の生物学者:大野乾による命名です。
ジャンクDNAとは・・・?
・これらの染色体領域は進化の過程で断片化し、破棄された偽遺伝子として知られる、無効となった遺伝子の集合です。
・ジャンクDNAは働かなくなったウィルスの蓄積されたDNAであることが示されています。
・ジャンクDNAは遺伝子の損傷と有害な変異に対する保護的な領域として働きます。
・ジャンクDNAは潜在的に有利な新しい遺伝子として発現しうる配列の貯蔵庫を供給します。
・生物において、胎児から成体までの成長に伴い、ジャンクDNAはメタDNA(変化したDNA)として役割を果たします。ジャンクDNAの高度に保存された領域が、全ての脊椎動物に共通であることが示されています。これらの領域は、生き残るために不可欠な部分なのかもしれません。
・ジャンクDNAはいくつかのまだ認識されていない機能を含んでいるのかもしれません。
・ジャンクDNAは本当は何も機能を持たないのかもしれません。
分子栄養学的個体差は、一塩基置換、ジャンクDNAによります。脂溶性ビタミンで10倍、水溶性ビタミンおよびミネラルで100倍の所要量の個体差が見られます。これは遺伝子レベルで個人を診断し、栄養アプローチを行う事の重要性を示します。
*ノンコーディングとはタンパク質をつくらないという意味。
ncRNA(ノンコーディングRNA)は卵が生体になるまでの過程や、細胞がある機能をもった細胞に変化していくのをコントロールしています。
ncRNAのひとつであるsmRNA(スモールモデュラトリーRNA)は、分裂しないために再生が不可能だと思われていたニューロン(神経細胞)が、修復され再生されていく過程に深くかかわっています。
脳にはもっとも多くのRNAが存在していますが、それは、たくさんの神経細胞があって、傷ついた時には、ncRNAが即座に働いて、修復するためであるとも考えられています。
その、ncRNAが脳内で不足した時に、ニューロンや脳そのものに障害が出て、それが自閉症というかたちで表に現れてくるということが考えられます。
これまで、DNAの補佐役だと考えられていたRNAが、実は、DNAをコントロールしていたということは非常に画期的な発見なのです。
例えば、水銀でボロボロになったニューロンの表面も、RNAによって再生修復されていきます。まるで、ショートしてしまっている電気の線をコーティングするかのようにです。
また、例えば、MTHFr遺伝子が変異してしまっていることで、葉酸回路という代謝経路が損なわれてしまたために、ニューロンの機能や再生がうまくいかなくなってしまっている場合、ある種のRNAを補充してあげれば、葉酸回路が正常に働くのと同じ効果が出ることがわかってきています。他の遺伝子変異についても同じです。
RNAが解明されることで、遺伝子の異常に必要なアプローチ法が見つかりました。
遺伝子のオンとオフに、RNAが深く関わっています。癌や糖尿病においても、遺伝子のオン・オフがその病態の改善及び悪化と深く関連しています。
RNAによって、遺伝子のオン・オフをコントロールすることができれば、様々な難病を克服することが可能になります。
わたしたちは、毎日、食事からRNAを摂り入れています。当然食事であれば副作用はありません。
ヒトと同じように、すべての生き物はDNAによってタンパク質がつくられています。当然、RNAも遺伝子情報によりタンパク質をつくるというもの以外に、遺伝子のオン・オフをコントロールするncRNAがたくさん含まれています。
食事は、ヒトが生きていくための栄養素を摂り入れることが目的でありますが、その中には、ncRNAの補給という意味合いもあるのです。
それを意識的にやってみることがRNAサプリメンテーションです。遺伝子のオン・オフや代謝を天然のRNAを摂り入れて、積極的に必要なところで働かせます。
RNAはDNAによく似た形で、タンパク質の構成要素として欠く事ができません。RNAはDNAが持つ情報を受け取り、遺伝子を調整します。
事実、RNAはDNAよりも身体に多く存在します。
DNAを安定して保持するには、身体はDNAとRNAの構成要素である大量のヌクレオチドを必要とします。サプリメントとしてRNAとヌクレオチドの摂取を提案する理由は、身体の負担をある程度取り除くためです。そして、身体がたくさんの自分の構成要素をメチル化サイクルを利用して自分で作る代わりに、我々がこれらの構成要素を栄養補給として補えば、自分の構成要素を他の重要な仕事のために残しておくことが可能になります。
RNAと他のサプリメントを使用すると、遺伝子変異があっても必要とするものを身体に供給できるようになります。
RNAサプリメントは、遺伝子のオン・オフをコントロールするRNAをサプリメンテーションすることで、神経細胞を再生させ、自閉症などの根本的な治療を狙ったものです。
RNAの人工合成ではまだまだ未知の点が多く、
副作用の危険性を拭い去ることができません。
しかし、植物から抽出したサプリメントは、
RNAもヒトとまったく同じ配列の物を選ぶこと
が可能です。
よって、分解されて蓄積することがなく、副作用の心配がありません。舌下吸収も狙っている製品ですので、しばらく口腔内にとどめておく事が効果をより発揮するためのポイントになります。
RNAサプリメントを使った自閉症治療のプログラムは、NFAM(米国国立代替医療財団)の理事であるゲーリー・ゴードン博士とエイミー・ヤスコ博士の二人によって確立され、臨床でも用いられている治療法です。